9月も半ばに入り、少し肌寒くなってきた。


廊下の冷たい風を受けながら教室に入ると、ポンッと肩を叩かれた。


くるっと振り返ると、そこにいたのは、中学のときからの友人の古川(ふるかわ)すずね。


「おはよう、理央(りお)」


「すずね、おはよう」


すずねの言葉を聞くだけで癒されるが、すずねの笑顔も私の癒しのもととなる。


彼女はほんわかした雰囲気を持つ、優しくておだやかな子。


友達の中で一番仲がいいといってもいいくらい。


まだ登校してきたばかりなのに、すずねは私に抱きつきながらこう言う。


「理央の顔を見れただけで十分だから、もう帰りたいよ〜」