一方、櫂とさつきさんは総合病院へ訪れていた。

「櫂、来てくれたんか。」

「親父、調子はどうだ?」
「こんにちは。」

櫂の父、そして俺達のかつての喫茶店の店長であるその人は、今持病で入院している。

「今日はまだ調子が良くてな。看護師も可愛い人が多くて元気が出るよ。」

「それは良かった。」

親子の会話には参加せず、窓際にある植物に水をやるさつきさんは、櫂から知らされていた。
彼の生命はもう、そんなに長くない事を。

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お見舞い帰り、陽だまりが降り注ぐ廊下を2人は歩く。
「櫂…お父さんの"治療"してもいいのよ?」

「何を言ってる。治療条件を決めたのはさつきだろ?それに親父は望んでいない。」