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 翌朝。私は前の日にお兄ちゃんから渡された、正確には放り投げられた、だけど、新しい学校の制服を着て、下へ降りた。

「まあ、素敵じゃない?」

 そんな私を見て、すぐに母はそう言ってくれた。

「おかしくないかな?」

 私は母の前で、クルッと回ってみたりした。

「全然、大丈夫よ」

 モーニングコーヒーを飲んでる父も、

「よく似合ってるよ、幸子」

 と言ってくれた。そこへ、やはり制服を着たお兄ちゃんも降りて来て、

「可愛いよ、幸子」

 なんて言ってくれたけど、たぶん心の中では正反対だと思う。

 朝食を戴いて、お兄ちゃんと家を出た。お金持ちの事だから、学校まで車に乗せてくれるのかな、と思ったのだけど、意外な事にバスと電車だった。通学定期を買わなくちゃだわ。

 お兄ちゃんとは、殆ど話をしない内に学校に着いてしまった。中庭にクラス分けの掲示板があり、見たら私は3組で、お兄ちゃんは1組だった。

 正直なところ、私はほっとした。だって、四六時中お兄ちゃんがそばにいたら、疲れると思うから。嫌味を言われたり、虐められるかもしれないし。

 ところが、お兄ちゃんはそれが不満らしく、私の腕を引っ張って職員室に入って行った。すると驚く事に、殆どの先生が立ち上がって私達、というかお兄ちゃんを迎えた。たかが一人の生徒に、教師が立ち上がって迎えるって、どうなんだろう。普通じゃないと思う。

 ただ、ざっと見たところ二人だけ、立たなかった先生もいた。一人は、お化粧は少し濃過ぎる感じだけど、とても美人な先生で、もう一人は目付きが鋭く、でもイケメンの若い先生だった。

 この先生達に教わるといいのにな、と私は思った。