翌日。
下駄箱で靴を履き替えていると、突然誰かに後ろから肩を叩かれた。



愛依かと思って振り返ると、そこには桐ヶ谷くんがいた。


「!?」


何話しかけて(はないけど)来てんの!?


誰かに見られたらまずいって!



もう少し自分が人気者だっていう自覚持ってよ!



「おい、待てよ」



思わず逃げようとした私に、桐ヶ谷くんは話しかけて来た。






何でこんな所で話しかけてくんのよ。




少女漫画読んだことないの?



私みたいな地味女が、学校一のイケメンと話していたら女子のやっかみ凄いんだから。



あれは漫画だけの話じゃないんだから!




「これ、返そうと思っていたんだけど」



え?


何か貸していたっけ?





気になって、桐ヶ谷くんの方を向いた。




すると……




「あー!」




慌てて、桐ヶ谷くんの持っていたお弁当箱を取った。