時刻、21時55分。

しまった。完全に騙された。

難波さんの席を見ると、まりあさんが居なくなっていた。

「まりあさんは!?」
他のキャストに声を掛けると控え室を指さした。

「雅ママが急に気分悪くなって、まりあが看てくれてるよ。」

俺は円香と顔を見合わせると、2人で控え室のドアを叩いた。

「まりあさん!出てきてください!」

俺達の様子を見て、店内がざわついた。

「おい、何やってる!?客に迷惑だからやめろ!」

黒田代表が慌てて俺達を止めに入った。

「いや!雅ママ!やめてっ!」

中からまりあさんの抵抗するような声が聞こえてきたので、俺は無理矢理ドアを開けようと体当たりをかました。