寝ぼけた頭のまま部屋の中を見回し、しばし固まる。

見慣れないアイボリーのカーテンを見て、そういえばここは一ノ瀬家の客間だったことを思い出した。


「ぐっすりだった……」


よそのお宅で眠れるだろうかと、布団に入るまでは不安だったけど、入ってしまえばスコンと眠りに落ちていた。

目覚めはよく、頭はすっきりとしている。


さあ、同居生活二日目のスタートだ。


「おはようございます、京子さん」


1階に降りると、京子さんがデニム地のエプロンを着てキッチンに立っていた。

姿勢の良い後ろ姿がかっこいい。


「おはよう、梓ちゃん。よく眠れた?」

「はい! もうぐっすりでした」

「良かった。朝食はパンなんだけど、大丈夫? 一応ご飯もすぐ用意できるけど」


ふんわりとパンの香ばしい匂いがして、幸せな気分でうなずいた。


「うちも朝はパンが多いです。いい匂い!」