中学校を卒業してから三日後、俺と凪沙は恋雪の家に遊びに来ていた。

「みつる、凪沙!今度イタリアに旅行に行くんだけど、お土産どんなものがいい?」

恋雪が飲み物を用意しながら俺たちに訊ねる。凪沙の目が輝いた。

「私、かわいいアクセサリーとかが欲しいな!」

「ヴァベーネ!みつるは?」

俺は少し考える。イタリアといえば、食べ物ならパスタにピザ、観光地ならコロッセオなど。ステキなものであふれている国だ。

「恋雪のおすすめの物にしてくれ!俺はお前のセンスを信じる!」

俺がそう言うと、恋雪は照れくさそうに笑った。

「えっ…。うん、わかった〜」

その時、玄関のチャイムが鳴り響く。恋雪が「宅配便かなぁ?」と言いながら玄関へと向かっていった。

しばらくすると、「相太兄さん!」という大声が二階の恋雪の部屋にいる俺たちの耳にも届く。

「えっ…?何だろう」

「行ってみようぜ!」

凪沙と一緒に階段を降りると、玄関には背の高い男性が立っていた。

「あれ?恋雪の友達?」

男性が恋雪に訊ねる。

「そうです!上杉みつると織田凪沙!」

俺がそう言うと、「そっか〜。君たち二人がよく恋雪が話している友達かぁ〜」と男性は人懐こい笑顔を見せた。

「こんにちは!僕は明智相太(あけちそうた)。恋雪のいとこだよ!ポルトガルとスペイン旅行のお土産を渡しに来たんだ!」