あたしの世界が暗闇に包まれたのは、幼稚園の年長の頃だったと思う。


集団生活にも随分馴れて、友達もできて、だけど時々はずる休みをしてお母さんに甘えて。


そんな普通の園児だったと記憶している。


「友里ちゃん、落ち着いて聞いてね」


アキちゃん先生がいつもの笑顔を封印してあたしにそう声をかけて来た。


「友里ちゃんは今から、先生と一緒に病院へ行くの」


「どうして?」


幼稚園が終る時間まで、あと2時間はあった。


だって今お弁当を食べ終わったところだったから。


「病院に行くまでに説明するから、ね」


アキちゃん先生に手を引かれ、わけもわからず向かった先で見たものは……生気を失った両親の姿だった。