そして、運命の放課後。


「…じゃあね、きっき」


帰りの学活の直後、掃除も何も無かった私がリュックを背負って輝星に別れを告げ、マフラーを巻きながら人と机の間をすり抜けようとした時。


「うん!じゃあ…え、瀬奈部活無いの?また休むの?」


そう、後ろから彼女が話し掛けてきた。


「うん」


昼休みに顧問の先生に伝えに行ったから、あとはさっさと帰宅するだけだ。


「そっか、じゃあねー」


あっ、promiseの曲聴いてね!絶対デビュー曲から聴いた方が良いよ!、とか何とか大声で伝えてくる彼女に軽く頷き、私は足早に教室を出て行った。


promiseの曲は後で聴くとして、今はそれどころでは無い。



(寒い寒いっ!)


そう思いながら早足で桜葉駅へと向かい、次は小走りで丁度到着した電車に駆け込む。


学校では寝不足のせいで少し眠かったのに、電車に乗って家に向かっている今は全く眠気が無い。


緊張と不安と少しの期待とその他の感情が、ごちゃごちゃになって私の頭の中を支配していた。


周りには同級生や先輩後輩がいるけれど、挨拶をする余裕もなく、私はマフラーを少し緩めながらスマートフォンを開いた。