社会見学は現地集合なので、バスに乗るのは帰りだけ。
それがせめてもの救いだった。

社会見学は当然のように誰とも喋ることなく終わった。

帰り、私は憂鬱な気持ちでバスに向かった。

島本さんの隣に自分から座りに行くのは嫌だったから、
早めに行って、後ろの方に座った。

次々とクラスメイトが乗ってくる。

みんなに遅れて島本さんが乗ってきた。

でも島本さんはこれみよがしに結愛ちゃんの肩を揺さぶりながらぼやいていた。

｢ちょー、もう最悪ー！席代わってよー！｣

私は何故かこの言葉にとても深く傷ついた。
いつももっとひどいこと言われているのに。

そんな島本さんはブーブー言いつつも席に着いた。

｢皆さんそろってますねー！それでは、出発するのでシートベルトを着用してください！｣

先生のお決まりの説明が終わったあと、バスは静かに発車した。