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「大きくなってからは、あんまり似てなかったんだね」

「俺の方がイケメンでしょ?」

理人くんは冗談ぽく笑った。

見せてもらったのは、1年前のお正月に実家で撮った写真。

並んで笑っている2人は、昔みたいに見間違うほどには似ていない。

でも、2人共確かに『鈴木くん』の面影を残していた。

湊人くんのお墓参りに行きたい、大人になった湊人くんの写真が見たい。

わたしが理人くんにしたこの2つのお願いを、彼はすぐに叶えてくれたのだった。

「えっと、兄貴には悪いけど、俺は奈々ちゃんと付き合うことになりました」

墓石に向かって、理人くんは言った。

「奈々ちゃんのこと悔しいからって、化けて出ないでね」

冗談めかして言う理人くんの横顔は、やっぱり少し淋しそうだ。

「ね、奈々ちゃんも、兄貴に挨拶してあげて」

「あ、うん。……鈴木くん、久しぶり」

理人くんに促されて、わたしは口を開いた。

「えっと……わたしは、あなたのことが本当に大好きでした」

わたしが言うと、横から理人くんが、

「あーあ、両想いだったのに。ヘタレて話しかけないからー。もったいない」

また、ふざけた口調でそんなことを言った。

きっと、2人はとても仲がよかったんだろうな。

そんな2人を見てみたかったし、2人それぞれと、ちゃんと知り合いたかったな。