2学期が始まったある日。『魔法調合学(通称、調合学)』と言う魔法薬に関することをする授業中、その調合学の担当である谷口先生が「今日は、自分で1から魔法薬を作ってみましょう!」と言い、『魔法草』と言う薬草を摘みに、近くにある森へと来ていた。

「…10分で出来るだけ沢山の魔法草を摘んでください!」

先生がそう言うと、谷口先生は着いてきた他の先生にバトンタッチし、その場で魔法をかけてどこかへと消えていく。

「…えっと、魔法草ってこれかな?」

美影が地面に生えている草を観察しながら言った。僕は「うん。魔法草はそれだ」とうなずく。

美影は魔法草を手に取り、それを谷口先生がクラス全員に配った袋に入れていく。僕と氷翠、琥白もバラバラになって魔法草を摘んでいく。

いつの間にか10分が経っていたらしく、谷口先生が現れた。

「…皆、私のところに集まって!」

先生のかけ声に、僕たちは先生の元に近寄った。その時、誰かが僕の脇を通った気配がし、僕はふと足を止め、後ろを振り向いた。しかし、誰も居ない。

…誰かが通ったような気がするけど、気のせいか…。

僕は前を向き、再び先生のところに向かって歩き始めた。