「……ここだよ」

結依がとある場所で立ち止まると、美影たちも立ち止まり、辺りを見渡した。しかし、結依たち以外誰も居ない。

ふわり、と空に舞い上がった美影は慣れた手つきで静かに印を結んだ。

「…天地を縛り付ける者よ。今、我の前に姿を現せ!」

美影が呟いた瞬間、美影の目の前に巨大な悪霊が現れた。その大きさは、深冬も驚くレベルだ。

「……っ!!」

悪霊は、素早い動きで空に浮かんでいた美影を魔法学校の方に向かって思い切り叩き落とした。美影の体は、いとも簡単に吹き飛ぶ。悪霊は、その美影の後を追いかけた。

美影の体は、魔法学校の校庭に強く打ち付けられた。美影の体に痛みが走る。

「いっ…!」

美影が立ち上がった刹那、悪霊は美影の脇を通り過ぎていく。その瞬間、美影の右腕に痛みが走った。

悪霊が、刀で美影の腕を斬りつけたのだ。そんな美影の様子を見た橋本先生は、とても驚いた様子で美影に近寄った。

「橋本先生!近寄るな!」

美影は悪霊に攻撃されそうになっていることを知らず、橋本先生に向かって叫びながら橋本先生を振り向いた。

「……美影。遅れてごめん…敵から目を離したらダメだよ?」

氷翠は美影の目の前で大きな魔法円を形成し、悪霊の刀を防いでいた。

「氷翠…ごめん。ありがとう」