ケータイ小説 野いちご

好きな気持ち

0◼︎別れは始まり

ドラマでよくある婚約破棄のシーン。見る度胸が痛くなっていたし、もともと感情移入しやすいタイプだから泣いてしまったこともある。
でも自分には関係ないと思っていた。

わたしは愛されているし、デートもたくさん連れて行ってもらえる。愛はお金じゃないけれどプレゼントだってたくさんもらった。言葉も気持ちも痛いくらい伝わっている。

普通のカップルではないところも確かにあるけれど、そんなことは取るに足らないことだ、と‥‥。

ーーだから

「プロポーズ撤回させてほしい。婚約指輪は好きにしてくれていい。売ってもいいし捨ててもいいし俺に返すでもいい。俺、もう緋奈(ひな)と付き合えなくなった」

こんなわかりやすい台詞すら瞬時に理解できなかったのかと思われても仕方ない程、言葉を飲み込むのに時間がかかった。
青天の霹靂 それほど驚嘆し、言葉を発せなくなった。

「え‥‥」
「泣かないで。俺はもう緋奈の涙を受け止めてあげれない」

泣いていない‥‥
話の理解ができていないから。

どういうことなのかわけがわからない‥‥。つい昨日愛してるって言わなかったっけ?何なの?ドッキリ‥‥?何のため?‥わたしの愛を確かめるための?
どんな理由だっていい。わたしが今言うべき言葉はーー

「り、理玖‥‥わたし 別れたく、」

そんな やっとの思いで発した言葉は最後までは言わせてもらえなかった。

彼が言うなとジェスチャーで制したからだ。


そこで初めて理解した。

わたしは 27歳の誕生日 先日プロポーズされたばかりの彼に婚約破棄されたのだとーー

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