あぁ…頭が痛い。
「ねぇねぇ!つつるん!
ここの問題教えて??」
額を抑える俺を上目遣いで見つめる彼女の名前は、衛藤亜衣。
高3ではじめて同じクラスになった出席番号23番の女子だ。以上。
俺は彼女を無視して席を立った。
薬を飲むための水を買ってこようと思う。
「あっどこ行くのつつるん!?」
すかさず、数学の教科書を持ったまま俺にピッタリくっついてくる衛藤亜衣。
甲高いその声が、更に俺の頭痛を悪化させる。
「…薬を飲むための水を買いに行くだけだ。ついてこないでくれ」
「えっつつるん、具合悪いの?」
なぜか前に立ち塞がった衛藤亜衣が、心配そうに15センチ下から俺を見上げた。
心配するなら一刻も早くそこを退いて欲しい。