「なにそれ?」



喜久野(きくの)が覗き込んできた。



「ビー玉?」



「そう」



ショートカット。でも可愛い。かっこいいよりも可愛いが似合う、俺の唯一の異性の友だち。



「なんでビー玉?」



うるせー。



「なんでそんなに大切にしてるの?なんでもかんでも無くしちゃうあんたが」



なんでこいつ、そんなに俺のことわかってるんだよ。



「……恋?」



「んっ」



やばい、声が出た。完全にバレた。動揺しすぎだ俺のバカ。



「なになに〜?お姉さんに話してみなさい」



「お姉さんって……生まれたのが1日早いだけじゃん」



「いいから、話して」



こうなると、こいつはもう言うことを聞かない。



「……そこの駄菓子屋によくいる女の子が、ラムネ飲んでたんだよ。男と。……それで」



「自分も飲んだ、と?」



コクリとうなずく。