『飛鷹!』
俺の名前を呼んでこちらへ駆けてくる女の子。今は放課後。下駄箱で待っていてと言われたから大人しく待っていたのだ。
「何?澪。どうした?」
澪。俺の幼なじみで小さい頃からずっと好きな人。
にこり、と笑った笑顔が無邪気でとても愛おしい。
『今日、バレンタインでしょ?チョコレート渡してきたんだ!』
ズキリ、と胸が痛む。俺の好きな人にはどうやら好きな人がいるらしい。らしい、というのも恋愛相談は受けたことがあるが誰かとは明確に言われていないのだ。
少し俺と似ている人。
……それなら俺でもいいじゃないか。きっとその男よりも俺の方が澪を想っているり俺じゃだめなのかと思ってしまうがきっとダメなんだろうな。