一週間後。


放課後の始まるチャイムを背に、やって来たのは誰もいないプールサイド。




……ニッセンの言いつけ通り、プール掃除をするためだ。


あのあと、そういえばどうしてプール掃除なんだろう、と不思議に思ったのだけれど、どうやらニッセンは水泳部の副顧問だったみたい。初耳。





水はほとんど抜かれていて、空っぽに近い。


わずかに薄く張った水面にきらめく光を見つけて、ため息ひとつ。





「……」




放課後、グラウンドでは様々な部活動が練習の真っ最中。


だけど、にぎやかなグラウンドとは校舎を挟んで反対側にある、ここ、プールは喧騒から切り離されたように静かだった。




ちなみに、今日、水泳部はオフらしい。


……だったら水泳部の部員に掃除させればいいのに、とちょっと思ってしまう。




でも、もういいや。仕方ない。


こうなった以上は、掃除なんかさっさと終わらせてしまおう。

できるだけ早く帰れるように頑張ろう。




「……よしっ」



むんっ、と一人、気合いを入れて。





それからシャツの袖をくるくると捲って、スカートも何回か腰のところで折って裾を上げた。


どうせ濡れてしまうだろうけれど、一応対策、だ。