『いやあ、ビックリしたよ。まさかお前があんな作文書いてたなんてな』


その日の夜、木下からかかってきた電話で、開口一番にそう言われた。

あの話題には触れてほしくない。そっとしておいてほしいのに……。

だけどそんなことを言ったら、わたしが傷ついていることがバレてしまう。それはつまり、福山先輩への恋心がバレるということだ。

だからわたしは、まったく気にしていないふりをして明るく答えた。


「ビックリしたのはわたし自身だってば。あんな適当に書いた作文、いきなりみんなの前で読まれるんだもん。公開処刑かよって」

「はは」


木下の小さな笑い声に、同情の色が混じっている気がして、心臓がドクドクと嫌な音をたてる。