4話


 

 葵音と黒葉は、作業場で向かい合って話しをした。
 葵音が彼女が26歳で元図書館司書だったが、今は仕事を辞めているという事を知った。
 そして、黒葉に簡単な自己紹介をすると、彼女は瞳を大きくして「すごい方だったんですねー。」としみじみとした声で言っていた。



 「あの、葵音さんはどうしてジュエリー作家になったんですか?」
 「まぁ、キラキラしたものが好きだったんだよ。学生の時にアクセサリーショップでバイトしてて、買っていく人は笑顔で帰っていくし、選ぶ時も笑ってるだろ。」
 「………そうですね。」


 自分の好きな事になると、どうも夢中になってしまうようで、葵音はつい力説してしまっていた。それに気づいて恥ずかしそうにするが、話を聞いていた黒葉は、とても嬉しそうだった。

 「まぁ、それで自分の好きなアクセサリーが作れれば楽しいと思って、いろいろ勉強して仕事を始めたんだ。」
 「そうなんですねー。とても、素敵だと思います!……あの、今まで作った作品とか見られないですか?」
 「写真は残してるけど……見るか?」
 「はい!ぜひ、見たいです。」
 

 作ってきた歴代のジュエリーの写真が入ってファイルを黒葉に渡すと、満面の笑みでページを捲っていった。一つ一つの作品を見る度に歓声をあげたり「綺麗ですねー!」とコメントを言ったり、葵音は彼女の変化を見ていて面白くなってしまう。


 「君は、アクセサリー好きなのか?」
 「はい!……今までひとつも持っていなかったんですけど、葵音さんの作品見て好きになりました。私、アクセサリー好きです。」
 

 初めておもちゃを貰った子どもはこんな顔をしているんじゃないか、と思えるほど彼女の笑顔はキラキラしていた。
 ジュエリーに魅了され、作ってみたいと思った頃の自分のようだと葵音は思った。