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精緻な模様が編み込まれた絨毯に、一流の家具職人が手がけた豪華なテーブルセット。

広大かつ荘厳な前庭が臨める窓辺には、洗濯したての清潔なレースのカーテンがかけられ、七月の強烈な日差しを心地のよいものに和らげていた。


ここは小高い丘の上に建つ、巨大な王城内の応接室である。

三人掛けの長椅子に並んで腰を下ろしているのは、見目麗しく気品溢れた中年の男女で、この国、カルディンブルク王国の国王夫妻だ。


「わかりました。喜んで援助しましょう。助け合いこそ、平和を守る礎です。こちらの意向は変わっていないと、コルべール王にお伝えください」


国王がそう言った相手は、紅茶のカップやティーフーズが並んだテーブルを挟み、向かいの長椅子にひとりで座っている、中年の男性貴族である。

大臣の肩書きを名乗る彼は、近隣の友好国、カナール王国からやって来た使者で、頭を下げて恭しくお礼を述べる。


「聡明なるレオナルド国王陛下のありがたきお言葉、しかと我が国に持ち帰らせていただきます。それでは……次はいよいよ、王太子殿下からの、例の預かりものを」