悪夢の様な一日が終わり、生徒達は現実から目を背ける様に眠りについた。

杉浦とその一味は一応警戒しているのか、見張りを立てて教室の隅で睡眠を取っている。

だが報復しようにも、まともに動けるのは唯一助かった凛香だけではどうしようもない。


「……どうしてこんな酷いことができるの」


動けない新二と秋人をどうにか教室の反対側まで運んだ凛香は、ボロボロで寝息を立てる二人を見て両手に顔を埋める。

秋人はバスルームから無残な姿で返されてから一度も目を覚ましていない。

そんな非常時にも関わらず教室には誰も訪れず、ドアも固く閉ざされたまま。

まさかこの教室は……例え誰かが殺されたとしても――

ゾッ、と氷柱の様な悪寒が背筋を伝い、凛香は今にも叫び出しそうになった。



「……りんちゃん……」