**


「…地図だと、そろそろ見える頃だな。」


ーーサザラントの街を出てさらに東に進むこと3日。私たちは、ローガスの居城があるという樹海を目指して旅をしていた。

ルヴァーノから送られてきた地図をじっ、と見つめるシドは、草原の道をすたすたと歩いていく。


「ん…?なんだ、あれ…?」


ふとランディの声に顔を上げ、前方へ視線を向けると、道の先に大きなレンガ造りの建物が見えた。そこには、黒塗りの大きな門がそびえ立っている。

のどかな草原に似合わない厳ついその門は、どうやら“関所”のようだ。ここを通らないと先には進めないらしい。

行く手を阻む門を見上げながら建物の近くまでやって来ると、鎧を着たひとりの男性が番所に佇んでいる。

しれっ、と彼の前を通り過ぎ、門へ手をかけたシド。

しかし、その瞬間。寝ぼけていたような男性が、はっ!と椅子から立ち上がってこちらへ叫んだ。


『あぁっ!ちょっと、そこの人!ダメだよ、勝手に通ろうとしちゃあ…っ!』


「あ…?」


鋭い眼光で睨み返したシドに、うっ、と怯む門番。しかし、彼はへこへこしながらこちらへ歩み寄り、門の前で槍を構えた。


『この先はスティグマが生息する樹海。国からも黙認された危険区域なんだ。誰も通すなと“王様”からのお達しさ。』