ケータイ小説 野いちご

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嫌われ王子を好きな理由

届かないのだとしても



◇◇◇◇◇


七月に入って梅雨が明け、季節は完全に夏に変わった。一学期も残すところあと一週間。


文化祭のあと、私は木下さんに自分が好きなのは栗林くんではなく、本当は優だということを打ち明けた。


すると木下さんは初め戸惑っていたけれど、栗林くんと一緒に私の片思いを応援してくれるようになった。




お弁当を食べ終え、次の授業の支度をしているところに優が登校してきた。優がそばにやってくると、夏のじめじめした暑さを吹き飛ばすような爽やかな石鹸の香りが、ふわっと鼻の奥に広がる。


「美砂子、おっはよう!」


その声に重なるようにして、昼休み終了のチャイムが鳴り渡る。


「おはよう、優。あっ、もうお昼過ぎだから『こんにちは』かな」

「そうだな! じゃあ、こんにちは!」


優は白い歯を見せ、顔いっぱいに笑顔を弾けさせる。つられて私も微笑む。



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