「ちょっ……!なんでそんな写真持ってるんですかっ!?」

「朝陽君に特別にもらった」

「なんの特別ですかーっ!!」

陽菜が画像を消してもらおうと勇人のスマホを取ろうとするが、いち早く仕舞われてしまう。
恨みがましく睨み付けるも、恥ずかしさのあまり涙目になってしまって迫力がないのは自分でも分かっていた。

「……ずるいです……私、越名さんの写真持ってないのに……」

不公平だと訴えると勇人は目の前で小さく笑う。
こんなによく笑うような人だったのかと陽菜はテレビでの印象を改めようとした時、勇人に徐にテーブル越しに腕を軽く引っ張られた。

「ひゃっ!?」

突然のことに陽菜が前のめりになると、テーブルから身を乗り出して体を寄せてきた勇人が仕舞ったはずのスマホを取り出してカシャッと音を立てた。

「え……?」

ポカンとしている陽菜を尻目に勇人は素早くスマホの操作をすると同時に陽菜のスマホが鳴った。
スマホを開いてみると、たった今勇人が撮って送ったのであろう二人のツーショット写真が送られていた。

「い……いいんですか!?こんな写真……!」

「別に構わない。
君は誰彼構わず見せたりしないだろ?」

「はい……」

クールな表情の勇人と目を丸くしている陽菜の写真。
陽菜は大事にスマホを胸に抱えると、このツーショットが何故か嬉しくて満面の笑みを浮かべた。

ーーこれ、一生大事にしよう!

陽菜は幸せな気持ちのまま、たくさんのフルーツが乗ったアイスを再び食べ始めた。