「どう思う?朝陽君。
勇人って、相手が陽菜ちゃんならどんな姿でも一目で分かっちゃうらしいよ?」

「やっぱそう言うことですよね、拓也さん。
なのに自分で気付いてないなんて、どれだけ鈍感なんですかね」

「気付かせてやりたい気もするけど、もう少しからかいたい気もするんだよねー」

「分かります。でも俺なら、気付かせた上でからかいます。
その方が絶対面白いですしね」

「朝陽君、いい性格してるね。
俺、君みたいな子好きだよ!」

お互いにサムズアップして妙に息が合い盛り上がっている二人に蚊帳の外にされた陽菜と勇人はお互いに視線を寄越すと揃って首を傾げた。

「えっと……鈍感だそうですよ、越名さん」

「……」

「なんか、私達が二人にからかわれる前提で話が進んでるようですが……大丈夫でしょうか?」

さらに首を傾げた陽菜を見て、勇人が胸の辺りを押さえたのに気付いた陽菜はじっと勇人を見つめた。

「どうしました?」

「いや……なんか……なんだろうな?」

「?」

さっきまでとどこか態度が違う勇人を陽菜は不思議に思いながら見ていた。

勇人は勇人で、自分でも分からない今まで感じたことのない胸の高鳴りに動揺していた。
このような感覚は初めてで、どうしたのか、どうしたらいいのかが全く分からなかったのだけれど、そんな勇人の様子を拓也と朝陽は楽しそうに笑って見ているだけだった。