「そっ、そんな!!私が越名さんに好意だなんて……畏れ多すぎますっ!」

堀原の質問に驚いた陽菜は全力で否定している間に茹で蛸のように真っ赤になってしまった。

「陽菜、お前……はい?」

堀原が何か言いかけていたがノックの音に遮られてしまい、返事をしながら扉を開けていた。
どうやら先程の番組のプロデューサーだったらしく、部屋の外で話をするようで堀原は出ていった。

そんな堀原の後ろ姿を見送りながら陽菜は火照ったままの顔を両手で扇ぎ、頬の熱を冷まそうとした。

「ビックリした……」

陽菜はドキドキする胸に手を当てると小さく深呼吸した。

誰かと話す時はいつもドキドキする。
人見知り故、それはいつものことなのでさして気にしたこともなかったが、好意を持った時のドキドキとは何か違うのだろうかと陽菜は首を傾げた。

疑問に思いながら目の前の壁につけられている鏡を見つめると、大分冷めたがまだ仄かに頬が色付いている自分の顔が写っていた。

「これは、堀原さんが変なこと聞いてきたからだよね……」

好意を持っているとかいないとか、そんなの陽菜にはまだ関係のない話だと思っていただけに突然聞かれて驚いただけだと言い聞かせていると、机に置いていたスマホが短く鳴り点滅しだした。

おそらく、さっきの生放送を見た朝陽からだろうと当たりをつけて、陽菜はスマホを手に取りメッセージを開くと……。

「ええーー!?」

陽菜は目に飛び込んできた文字に思わず叫んでいた。