ケータイ小説 野いちご

不機嫌ですが、クールな部長に溺愛されています

◆色恋ミクスチャー


紗菜と電話したあと、私はマンションに帰る前に、天王町駅のそばにある居酒屋の前で足を止めた。

チェーンの居酒屋ではなく、個人経営のこじんまりとした店だ。外から少し店内が見えるのだが、いつもほどよく賑わっていてアットホームな雰囲気がとてもよさそうだと、以前から気になっていた。

やっぱり今日は飲みたい気分なのよね……。久々にひとり呑みしてしまおうか。

星がついているようなお高い店には接待でよく行くから、たまにはこういう居酒屋で気楽に過ごしたい。カウンター席もあるようだし、おひとり様でも問題ないだろう。

ひとりで行動することには慣れているから、ラーメン屋や牛丼屋にも普通に入れる。昔はカラオケもやったっけ。

そんな姿はあまり会社の人には見られたくないが、ここならきっと会うことはないだろう。軽い気持ちで入ることに決め、引き戸を開けた。

木のぬくもりを感じる内装の店内では、皆が和やかにお酒を酌み交わしている。店員さんもとても愛想よく対応してくれて、私も気分よくカウンター席に座った。

お品書きを見ると、定番の居酒屋メニューから定食もあって充実していて、お値段も比較的安い。

ひとりだと気になるのは量なので、店主のおじさんに聞いて快く教えてもらい、誰の好みも気にせず自分が好きなものだけを頼んだ。

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