ケータイ小説 野いちご

不機嫌ですが、クールな部長に溺愛されています

◇困惑プリンセス


十月も終わりに近づき、いよいよ肌寒くなってきた。日が暮れるのも早くなり、午後五時半の今、すでに外は真っ暗だ。

今日は社長が早くお帰りになったので、私も残業せずこの時間に退社することができる。あれから耀には会っていないから、例の仕返しをされることもなく、心穏やかに過ごす日々だ。

耀に振り回されるのは御免だけれど、パッケージのほうはどうなっているのか早く拝見したいな。

そう思いながらAkaruがデザインしたお気に入りの手帳をめくって、明日の予定ややり残しがないかを確認したあと、トレンチコートを羽織って秘書課をあとにした。

そうして、今日も何事もなく終えるはずだったのに。

一階のロビーで、社員と向き合って話していた男性が腰を上げたのをなにげなく見やり、私はギクリとした。

あれは、耀……! こんな時間に打ち合わせに来ていたの!?

今日はスーツではなくカジュアルな服装をしているから、予定していた打ち合わせではないのかもしれない。

しかし、そんなことはどうでもいい。彼も荷物を持つところからして今終わったみたいだし、気づかれる前に早くここを出なければ!

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