ケータイ小説 野いちご

不機嫌ですが、クールな部長に溺愛されています

◆甘言アプローチ


Akaruデザインの企画が動き始め、代表して耀がサンセリールにやってくることが多くなってきた。

彼が務めるアートディレクターとは、企画のコンセプトをデザイナーなどに伝え、クライアントの要望を実現するために指揮をとる責任者のこと。

時々営業担当の方も一緒にやってきて、メールなどではできない、こちらとの細かいイメージのすり合わせを行っているのだ。

私はその打ち合わせの場に居合わせることはないから、耀の姿は社内で見かけるくらい。なんとなく気まずくて、話しかけられないように意識的に避けてしまっている。

確か今日も来ているんだっけ。受付の女の子たちが騒いでいたからすぐにわかる。

あの容姿に優しい性格だもの、そりゃあモテるわよね……。久礼社長も言っていたし。

今朝の受付の子たちの浮足立った様子を思い返しながら、社長から頼まれた書類を研究課長に渡すため、昼休憩の前に研究課に立ち寄った。

課長は工場に出向いており不在で、代わりに応対してくれている倉橋さんに書類を手渡す。

白衣に眼鏡、髪を後ろでひとつに結んだ研究員スタイルだと地味に見える彼女。元は結構美人なのにもったいない……と幾度となく思っていると、彼女は私に凛と微笑む。

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