ケータイ小説 野いちご

強制食料制度

万引き

土管の中まで差し込む太陽に光りにあたしは目を細めた。


ついに朝になってしまった。


あたしが食料になるまであと数時間だ。


昨日だって散々な目に遭ったのに、これからどんな日々が待っているのか想像するだけで気が滅入る。


けれど、ジッとしている暇もなかった。


土管から這い出すと鳥のさえずりが聞こえて来て、ごく普通の朝が訪れたような錯覚を起こす。


しかし、それは野犬に噛まれた傷痕の痛みでかき消された。


あたしはもう、当たり前の世界にはいないのだと、思い知らされる。

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