6話「心配と好奇の目」





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 今日は、秋文が所属しているチームでの合同ミーティングと練習があった。
 来年度の大まかのスケジュールと、試合やイベントについて話し合った。
 今年度は惜しくも決勝戦リーグで敗れてしまい、優勝は出来なかった。そのため、「来年度はこそ優勝する!」と、チームの意識は高いものになっていた。


 皆が練習に熱が入り、ベテランとして若手から練習相手を頼まれたり、質問されたりなどで、秋文も集中して練習をしていた。
 それに、千春が家事をしてくれたり、栄養面の食事を考えてくれているからか、体調もとても良く、コンディションがいい日が続いていた。手作りの弁当を食べていると「愛妻弁当ですかぁー?羨ましい!」とチームメイトから言われるようにもなり、素っ気なく返事をしていても、内心ではとても嬉しかった。

 ただ、彼女の生活リズムが崩れているのは心配だった。どんなに早く寝せようとしても、夜中にこっそり起きてきたり、朝早くに起きて秋文の分担のはずの家事も、全て千春がやってくれていたのだ。
 確かに秋文はその分サッカーに集中出来ていたので助かるが、彼女の負担は大きいはずだ。

 秋文は、次の休みはどこかに泊まりに行って家事などから解放してあげたいと考えていた。



 試合形式の練習をしている時だった。
 途中で秋文が交代になった。練習中の交代なので、何か戦略の方法を伝えるためなのだと思い、監督の元へと近づいた。


 「何か変更ですか?」
 「いや、秋文に急用だ。」
 「急用ですか?」


 秋文は、その言葉を聞いて今抱えている仕事の事を思い出した。何か、緊急でやらなければいけなくなった事でもあるだろうか?
 そう考えていると、監督は真剣な表情で秋文にある事を伝えた。


 「秋文の奥さんの会社から電話だ。奥さんが会社で倒れたそうだよ。」
 「なっ………!!」
 

 持っていたタオルを投げて、その場から立ち去ろうとしたけれど、監督は秋文を1度引き留めた。