「ただいまー」


……帰って来た。


わざと廊下や玄関の灯りを消して、リビングだけ明るい家を、まず晃くんは不審に思うだろう。


「さゆ? 帰ってるのか――?」


「晃くん、座って」


リビングに入って来た晃くんに、厳しい視線を投げる。


「は?」


「いいから、座ってもらおうか」


「? うん」


お母さんたちも一緒のとき晃くんは隣に座るけど、二人の時は向かい合って座るのが習慣になっていた。


「なんで、あんなことになったのかな?」


「あんなことって?」


「なんで私と晃くんが付き合ってる、なんてことになったのかな?」


「さゆが否定しなかったからじゃん?」


「晃くんがヘンな言い回しするからじゃん?」


「……さゆは俺と付き合ってるって思われるのやなの?」