中学時代の今泉君はいつも勉強ばかりしている優等生で、クラス委員や生徒会長なんかを歴任し、ヘラヘラしている他の男子達とは違ってて、どこか大人な感じがする生徒だった。

顔は割と整ってるのに黒ぶちの眼鏡を掛けてたせいか、ニックネームは『執事』とか『秘書』なんて呼ばれてて、でも、そのネーム通りに確実な仕事をこなして、皆の信頼を勝ち得ていたようにも思う。


(そんな彼がドクターか。…まっ、妥当と言えば妥当か)


ほぼ予想通りと言うか、それをしてなければ、政界にでも入ってそうなくらいの雰囲気がある生徒だったもんなぁ……。


私は調剤薬局で雑誌を捲りながら、前のことを思い返していた。

今泉君は、私の予想に近い職業に就いていて、白衣が似合ってて素敵で、自分から名前を名乗るまでは、全然気づきもしないくらいダンディーな大人になっていた。

それこそ、ぼぉーっと顔を見つめてた私がマヌケだったくらいにイケメンで、あんなに整った顔立ちだったのか…と改めて思うくらいに見違えた。


(私はもっと、老けた感じを予想してたんだけどなぁ…)