──石川部長と木嶋さんを手玉に取るなんて何考えるの?



夕方。仕事も終えて、
すぐに家に帰る筈だった。
オフィスのトイレの個室の上から突然そんな声が降ってきて、まさかと思った。
驚いて上を見上げた私の顔を容赦なくバケツから放たれた水が叩きつける。

バシャっと大きな音が響いて、
気がついたら私のスーツも足先のパンプスまでシャワーを浴びたかのようにびしょ濡れになっていた。

「……。」


今更こんな古典的な。
学生時代でさえ経験しなかった事を大人になって経験するとは思わなかった。
こんな事をする成人女性もいるんだ。

むしろうろたえる事もなく意外にも冷静にそんな事を考えている自分に驚く。