PM7:30。

莉子は、片付けなければならない仕事を仕上げてから急いで席を立った。

今日は会社帰りに妹の梨架をスタジオまで迎えに行ってから家に帰る事になっている。

まだ残業中の社員に小さく頭を下げながら早足にオフィスを出て、 駐車場までの道を急ぎながらスマホで梨架にメッセージを打った。

『ごめん。今から会社を出ます。
すぐに向か─…』

"向かいます"
そう打ち終えようとした所でドサっと人にぶつかった。

早足で歩いていたせいか、日頃の運動不足も手伝って体幹が皆無なせいかぶつかった私の体はあっけなく床に倒れこむ。

反射的に口から出たすみませんの一言は、相手の声によって遮られた。