「じゃあ、ここだから。

送ってくれて、ありがとう」





翔 「どういたしまして。

じゃあ、また明日。学校で?」





「ふふ、うん。じゃあね」





別れをつげて、ドアの引き手に手をかけたその時




翔 「華!」





大きい声で、私を呼ぶ声。





「ん?どうしたの?」





すると、こちらへ寄ってきて





翔 「ずっと、思ってたんだけど



俺、春川じゃないよ?」








「えっ!?春川じゃな...あっ、」








翔 「翔太だよ」







「...うん、知ってるよ?」






私だって、言わされたんだもん。




君にも、言って欲しい。





翔 「ハハッ、そうきたか。

じゃあ...

翔太って呼んで。春川くんじゃ嫌だ。」






ふざけて、少し拗ねたようにいう君は




本当に可愛くて






「...春川くん?」






つい、意地悪したくなる。





でも、






翔 「ほら、だーめ。

こっち向いて、呼んでよ」




いきなり、甘く低い声で




翔 「華」




そんなふうに、呼ばれたら






「翔太...」





意地悪する余裕なんて




消えちゃった。