「将来、歌手になりたいの?」





翔 「うん、夢だよ。大きすぎてまだハッキリはしないけどね」





照れたように、夢を語る君に





少しだけ嫉妬した。





だって、私には夢なんてないから






将来のこと、とりあえず大学に行ければって





それだけ。






「なれるんじゃない?歌うまいし」






翔 「ハハッ!無責任だなー、上手い人なんて腐るほどいるよ」






「じゃあ、何で勝負するの」







翔 「んー?...ここ?」





君の手のひらが辿り着いたのは





「...心?」





左胸におかれた、大きな手のひら





翔 「そう、聴いてる人をどれだけ惹き込ませれるか。

どれだけ、感動させられるか。

少しでも、何かを感じさせることが出来るか。

ここが勝負だと思う。」





そう語る、君の表情は誇らしい。




だけど






翔 「要は、歌はうまい下手じゃないってこと!」




すぐに誇らしい君は、どこかへ消えて



照れたように鼻を触った。