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最初の出会いこそ
特殊なものだったけれど
そんな私たちを取り巻く雰囲気が変わったのは
あの冬だったのかな。
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11月下旬
冬の6時はもう、暗くて
街灯が優しく歩道を照らしてた。
寒いし、暗いし、怖いから
早く帰ろう。そう思っていたのに
自然に止まった足
いつもなら通り過ぎるはずの
小さな公園のブランコに
君がいるのを見つけたんだ。
翔「君を守るため そのために生まれてきたんだ
あきれるほどに そうさ そばにいてあげる...」
甘くて、優しい声が冬の夜に響いた。
歌のことはよく分からない私でも
君の歌を上手いと思った。
ずっと、聴いていたいと思った。
翔 「あ、北野さん」
ああ、止まっちゃった。
私が見過ぎたせいか、春川くんは私に気付いて
歌うのをやめてしまった。
「上手いね、歌」
翔 「そんなことないよ」
否定する君だけど
頬は思いっきり緩んでて
「嬉しいなら、ありがとうって言えばいいのに」
翔 「ハハッ、うん、ありがとう」
君はやっぱり、クシャっと可愛く笑った。
私、その笑顔に弱いみたい。
初めて君の笑顔を見たあの日
思い出せなかった、しゃがれ声の青い猫
帰って調べたんだ。
やっぱり、君にそっくりだった。
なんて、いったら怒るかな?
いや、きっと
『そうかな?』
って、可愛く笑ってくれる。
そんな気がする。
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