さて、やっと気付いたこの気持ちなわけだが。
何か変わるのだろうか。
「お、志村さんだ。久しぶりだね」
「中家くん。文化祭優勝おめでとう」
「ありがとう。ま、歩夢のおかげなんだけどね」
文化祭が終わって休日が過ぎた朝。
いつも通りに学校に来れば、いつぞやの中家くんとばったりと会った。
「それにしても歩夢ってばびっくりしたよ。
志村さんへの嫉妬で解放されちゃったのか」
……ああ、裏の性格のことだろうか。
それは皆さん驚いちゃうよね。
有名人ということもあって、今では全校で有名な話だ。
だが、裏の性格も悪い人じゃないからきっと上手く馴染めるだろう。
「志村さんだけ驚かなかったっていう話も聞いたんだけど、元から知ってたの?」
「うん。口止めされたけどね」
「そっか。でも、やっと歩夢の素を見れたようで嬉しいや」
満面の笑みでそう言うから、心からそう思っているのだろう。
本当にいい人だな、歩夢は後でお礼でも言って欲しい。
本人がいないのでそんなことは言うつもりはないが、言わないといつか後悔すると思う。