「それじゃ俺は帰るけど……本当に大丈夫か?」

「はい、大丈夫です。遅くまで付き合わせてしまい、すみませんでした」

夜の二十二時過ぎ。帰る上杉さんをエレベーターの前まで見送りにきた。

上杉さんは私と一緒に病院に泊まってくれると言ってくれたけど、さすがにそこまで甘えられない。
断ると、彼は渋々帰ることを了承した。

「明日また来るから。なにか必要な物があったら持ってくるけど」

エレベーターに乗り込み、ドアを閉める前に聞かれ、特になにもないと思ったけど、ふと思い出す。

「あの、私のクローゼットの中にプレゼントを入れたショップ袋があるんです。それを明日、持ってきてもらってもいいでしょうか?」

それは初めてもらったお給料でふたりに買ったプレゼント。食事に後に渡そうと思っていたものだった。

キョトンとなる上杉さんだけど、ピンときたのか頬を緩ませた。

「了解。……おばさん、目を覚ましたら渡してやるといい。絶対喜ぶから」

「……はい」

素直に返事をすると、上杉さんは私の頭をクシャッと撫でた。

それだけで胸がキュンとなる。

「また明日な。おやすみ」

「おやすみなさい」