美都家の頭首は代々、男。



今時そんな風習が古い。



だけど、ずっとそうやって引き継がれてきたから今更変えることもできない。



次に生まれる子が次期頭首。



誰もが生まれてくる“男の子”を待ち望んでいた。



6月18日 生まれてきた子は女の子だった。



女の子が生まれたときそいつは施設へ。
それが決まり事だった。



だけど、その女の子は施設には預けられず、男の子として育てられた。
周りに悟られないように子供と母親は離れでひっそりと暮らすことになる。



父親は母親に会うたびに「面倒ごとを増やした」と嫌味を言い、子供には厳しく教育をした。
子供が泣こうが、体調が優れないときでさえ



幼いころから“男”であると暗示をかけられ、「頭首になるために」と必死だった。