「でも俺さぁ、娘1人養っていく自信はあるんだよ。それくらいの稼ぎはあるし。エナの大学用の金だって少しずつ貯めてるし。問題はエナの気持ち。なあ、お前ならどうする?」

会社の昼休憩に屋上で弁当を食べながら、隣に座っている後輩に相談する鋭太郎。

「ええー?分かりませんよ。俺子供どころか嫁どころか彼女もいないんすよ。先輩のそれ、嫌味に聞こえるんですが?」

困ったように睨みつけてくる後輩に悪い悪いと苦笑いする鋭太郎。確かに、まだ20代前半のこの後輩に聞いたのは間違いだった。

「てゆーか亜久津先輩、今日手作り弁当すか?いいなあー!なんだかんだでいい奥さんじゃないすか!」

羨ましそうに口を尖らせる後輩。