体は怠いのに不思議と嫌な夢は見なかった。
 深夜に目を開けてその理由を知る。

 愛おしいその姿をとらえて、髪を撫でるとくすぐったそうに手に顔をすり寄せた藤花を抱き締めた。

 弱っているところを見せたくないと思うよりも、彼女には側にいて欲しいとさえ思った。

 こんなに他人に心許す自分も、こんなに惑わされる自分も、なんだかおかしくて笑えてくる。

「ん……。俊哉さん。もういいんですか?」

「うん。ずいぶん楽だよ。
 ありがとう。
 まだ夜中だ。寝た方がいい。
 俺ももう少し眠ることにするよ。」

 俺の胸に顔を埋める彼女の頭に頬を寄せて俺も目を閉じた。