ケータイ小説 野いちご

雨月くんは私の心臓を爆発させたいらしい。

3. 17時のチャイム


穏 side
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「 驚かせてごめんね? 」


目の前に置かれた本日2杯目のココアに目を落として、じっと沈黙に耐えながら思い出すのはさっきのこと。



『 ひと、りにしないで…っ 』

『 悠! 』



瞳に涙を浮かべながら必死に「千歳さん」と呼ばれた男の人の服の袖にすがっていた磯海。



慌てながらも慣れたように指示を出す「むーくん」と呼ばれていた男の人は、さっきと同じようにソファーに座って不安げに瞳を揺らす凌をあやしていた。



「 紹介が遅れてごめんね、伊代 千歳です 」

大学3年生だというだけあってやっぱりどこか余裕を感じる。


「 そっちに座ってるでかい方が雨水 椋(うすい むく)で、ちびちゃんが悠の弟の凌。 」

「 どーも雨水です 」


にこりともせずに頭だけを下げる雨水さん。


クール、その一言に尽きる。



「 あ…えっと、渡邉歩乃、です、
で、隣にいるバカっぽいのが鈴川綾斗で、そっちの愛想がないのが雨月穏です 」


「 バカっぽいとかいうなよ!恥ずいだろ! 」


「 うるさーばかじゃん綾ちゃん 」


「 綾ちゃん言うな! 」



「 ……2人とも、その辺にしなよ 」



空元気でそのやり取りされても痛々しく見えてこっちが辛いから、の意味を込めて視線を送ればさっきのように重い沈黙が流れる。



さっき部屋に入った時に見えた散らばったダンボールの中身は、多分、間違えじゃなければバレーボール関連のもの。


現に今凌が持っている青と黄色の男子よりも一回り小さいバレーボールは、至る所に擦れたあとがあって、一目で使い古されたものと分かった。





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