キッチンで料理している間、誠也は私の後ろに立っていた。



「この前、東京には家族と行くことになったって言ってたけど……一緒にいったのは、お兄さんだけ?」



「うん。お兄ちゃんだけ……」



誠也に電話で誘った後で、東京にはお兄ちゃんと行くことになってしまった。



誠也に嘘はつけなくて、私は正直に答えた。



「そっか……
東京、楽しかった?」



「うん」



私は、料理する手を止めずにうなずいた。