“雨がきらいなのか?”

「きらい!お外で遊べなくてつまんないもん!」

“しょうがねぇな。俺の庭へ連れていってやるよ”

「おにわ?」

“俺とお前だけのひみつな”

「うんわかった!お兄ちゃん名前はなんてゆーの?」




“雨音ーーあまおとだ”



「わたしはねー」



きらきらした幼き日の記憶。


声が震える。


「……あまおと、だったんだ。ここはあなたが連れてきてくれた、おにわだね。どうして忘れていたんだろう……っ」


そっと肩に置かれた冷たい手。


「いいんだよ。お前まだ小さかったし。忘れてもしょうがねぇよ」


優しい声にまた涙しそうになる。