メロウ国から帰国して二週間後、朝食を食べながら新聞を読んでいた俺は、ある大きな記事に思わず飲んでいたコーヒーのカップを落としてしまった。

当然床に落ちたカップは粉々に割れ、コーヒーが黒いシミとなって広がっていく。ベルが心配そうな顔で近づいてきた。

俺はベルを抱きしめ、「やった!やったぞ!」と喜んだ。

その記事には、世界平和対策本部のゴールが書かれてた。多くの人が待ち望んだ未来、大きな希望が書かれている。

『長かった世界大戦が来月で終結!タンバリー国で平和の式典が行われることに!』

暗く、誰かが傷つき、悲しんだ世界大戦が終わる。対策本部の活動に動かされ、各地で人々が行動を起こし、各国の王たちが戦争を終結させる方針にしたようだ。

「よかった…。これで…」

外からは、新聞を読んだ人々が喜ぶ声が家の中にまで聞こえてくる。みんな笑顔で、幸せで満たされているのだろう。俺だって同じだ。

対策本部がどうなるのか、リリーたちとの関係がどうなるのかなど、この時の俺は戦争が終わることが嬉しくてそこまで考えられなかった。