恋敵が現れたとなると、
僕の決心はより硬くなった。

藤田の言う通り相手は完璧すぎる。

勉強もできれば、スポーツだって万能だ。

僕には何一つ勝てっこない。

「なぁ、風太。お前にいい話がある。」

放課後いつものファーストフード店で

「なんだよ。いい話って。」

藤田はスマホの画面を見せた。

そこには“記憶を無くした人の記憶を
戻す方法”と書かれてあった。

「お前薫ちゃんとより戻したいんだろ?」

詳しく読み進めていくと、
記憶を無くした人との
思い出の場所を巡るというものだ。

「何が言いたいかって、
薫ちゃんをお前との思い出のデート場所
に連れていけば記憶が戻るかも
しれないってこと。」

なるほど、彼女との記憶をどうにかして
取り戻せばまた恋人になれるはずだ。

やるしかない。

「藤田。ありがとう。
これならいけるかもしれない。」

「今日は奢ってやる。
そのかわり薫ちゃんを取り戻してきな。」

これだ。僕にできることはこれしかない。

藤田と別れた後
僕は嬉しくなって、駅まで駆け出した。