あれから二年。
私は今、神戸の両親の元を離れて大学に進学をすることになった。

東京都内の私立大学に進学して一人暮らしをしていた兄は既に卒業し就職もしている。
神戸に引っ越して半年足らずで父親の仕事が安定し今後の学費も生活費の心配もいらないから好きなところに進学していいと言われた時にはホッと安堵のため息を漏らしたものだ。

進学先は関西の大学を選んだけれど、両親の暮らす家からは通学時間がかかりすぎることがあって家を離れて大学の近くのアパートで独り暮らしをすることになった。

父の仕事もかなり順調らしいし、母も毎日生き生きとしている。
母は今やあのまま関東で暮らすよりもここ神戸で暮らす方が合ってるんじゃないかと思うほどの馴染みっぷりだ。
私のリハビリも概ねうまくいった。
辛いこともあったけど、今は日常生活に支障はないし軽い運動もできる。競技はきっぱりと諦めた。

どうやらあの引越しは家族全員にとって正解だったらしい。
あ、東京にいる兄はどう思っているか知らないけど。

自由人の兄は都内の企業に就職して彼女と同棲していて滅多に実家に顔を出さない。
楽しくやってるならそれでいいって両親も言っていたし、まあそれはそれでいいっか。